古式秋季御供揃祭
古式秋季御供揃祭
斎行日:10月19日
御供揃祭の由来
御供揃祭(ごくぞろえさい)は秋の実りに感謝し、来年の豊作を祈る祭典です。
その起源は古く、神社の由緒を記す縁起には、第40代天武天皇白鳳2年(673年)のお祭の様子が詳細に記されています。
※以下の「」内には縁起の該当箇所の口語訳を記します
※縁起の日付は旧暦9月ですが、新暦の現在では月遅れの10月に祭典を行っています
・9月11日 「長官・社家祢宜巫祝ら斎に入る」
祭典にあたり、神社に奉仕する者たちは皆、心身を浄める為に斎戒に入っております。
またこの時代、多くの人が神社に仕えていたことがわかります。
・9月17日 「榊、四手を付け、砂を撒く。神前に伶人舞がある」
境内に榊や紙垂を取り付け、祭典の準備をしていた様子が伝わります。
・9月18日 「長官以下残らず出仕。神膳を供え奉り、騎で弓を射る者あり」
現在でも隔年にて流鏑馬が奉納されますが、古くよりこのお祭りに合わせて奉納されてきたことがわかります。
・9月19日 「前日の如く出仕し、御供えを調え進め、長官宝殿に進んで幣を奉り、一の祝が祝詞を読む。神楽を奏す。国家安泰・武運長久・五穀成就の御祓いを行う。この時、宮柱次官(※地官のこと)十八人素袍袴を着て北面に着座。魚鯛を砧板に乗せ、箸を添え、大宴あり。」
神饌を御神前に供え、幣帛を納め、祝詞を奏上して神楽を奏上するという祭典の様子が記されています。そして祭典には地官(じがん)と呼ばれる方々の奉仕があったことが分かります。地官とは当社の古文書に度々登場しますが、当社の祭事に代々仕えてきた家で、18の家名が伝わっています。現在でもこの家の方々が祭典に奉仕していただいています。
・9月20日 「斎を散らす」
祭典が終わり、翌日に斎戒を終えたことが分かります。
御供揃祭の特殊神饌と地宮
御供揃祭では定められた特殊神饌が供えられます。
- 御供(おごく) 新米で炊いたお米を木椀に山盛りにつぎ供えます
- 粢(しとぎ) コメの粉を清水で固めたもの(餅が作られる以前の形態)
- 栗三個
- 賽の目に切った柿三切れ
- 魚 セイゴを合わせて三尾
- 小餅三個
上記の神饌に柳箸を添え、ケヤキ材で作られた丸い盆に供えたお膳を計18膳と、新米・甘酒をお供えします。
この18膳は地官の家数と同じである為、地官が奉仕することに意味が込められている祭典であることが分かります。この他にも正月には小餅の重ね18組を「十八重(じゅうはちかさね)」として御神前に供え、また神幸祭の御旅所到着の祭典では18膳の御供(炊いたお米)が供えられています。
18膳の神饌は全て地官の方々によって調理されます。柳箸を削ることから始まり、粢を作り、祭典当日に大釜で御供を炊くための臨時のおくどさんが境内に組まれます。
地官の方々によって調理されたお供えは、神饌所から御神前まで神職と地官により手送りして献饌されます。
祭典に奉仕する地官の家も長い歴史の中で減少してきていますが、現在でも古式に従って斎行される由緒ある祭典です。